排卵が起こり、卵管内で受精卵となって進む先はもちろん子宮です。子宮は毎月、内膜を厚くふかふかにして受精卵の到着を待ちうけています。しかし子宮に何らかの異常があるとうまく着床することができず、不妊につながってしまいます。
子宮にできた腫瘍や子宮の形が不妊原因に
狭い卵管を通って、受精卵が子宮内膜に根を張ると着床となり、正常な妊娠が成立します。しかし肝心の子宮側に形態異常や腫瘍などの問題があると、着床が妨げられてしまいます。
例えば子宮内膜ポリープです。子宮の内側を覆う子宮内膜に小さなコブのできる症状で、ポリープ自体は良性なのですが、場所によっては着床の邪魔になってしまうケースがあります。
同じく子宮筋腫も問題となることがあります。子宮の筋肉の部分にできるコブで、場所や大きさによっては着床や胎児の成長を妨げる場合があります 。一般的に5センチを越えるような大きなものは手術で取り除くことが多いでしょう。
ただし妊娠をきっかけに筋腫が発見されることも多く、その場合は経過を慎重に観察しながら妊娠を継続できるケースがほとんどです。
またポリープではなく子宮自体の形状に問題がある女性もいます。例えば子宮が十分に発育していなかったり、生まれつき形に問題があったりするケースです。必要に応じて手術が検討されることもあります。
子宮は検査で異常が発見しやすい
他にも、着床すべき子宮内膜が薄すぎたり、逆に厚くなりすぎたりするのも着床を妨げる原因となります。内膜が薄いのは女性ホルモンの不足、厚いのは加齢や肥満などが原因として挙げられます。
また帝王切開での出産経験のある女性において、まれに傷口に血液がたまって不妊につながるというケースも見られます(帝王切開瘢痕症候)。
このように子宮因子にもさまざまな原因がありますので、まずは検査を受けて原因を特定し、それに合った治療法をおこなうことが大切です。例えば子宮筋腫が問題と判断されれば取り除く手術が検討されますし、 子宮の形態異常が原因であれば形を整えるための手術がおこなわれることもあります。
子宮はその位置から、エコー検査や子宮鏡検査などの負担の少ない検査でわりと容易に異常が発見できる器官だといえます。特に普段から生理痛の重い女性や不正出血の見られる女性は子宮の問題が考えられますので、 妊娠の希望に関わりなく早めに検査を受けることが望ましいでしょう。